Archive for 11月, 2015

景品表示法

2015年11月9日

こんにちは。お総菜行政書士の加藤智成です。それでは今週も少しのお時間にお付き合い下さい。

ワザとじゃなくてもアウトです

不当景品類及び不当表示防止法のお話しです。いわゆる「景品表示法」と呼ばれていますが、その中で、
・実際の商品内容よりも誇大に品質や性能を良く見せかけたり(優良誤認)
・いつもと値段が変わらないのに値段を安く見せかけたり(有利誤認)
といいますが、そんなインチキな表示を禁止している事についての話題です。(景品については次回に説明します)

優良誤認・・・

その商品のアピールポイントとして品質(内容・性能)が良いことを訴求しても実はそうではないことを指します。
摘発の実例)
・学習塾で講師陣の出身大学が98%以上が国公立大学出身というチラシだが実は14%しか出身者がいなかった
・しゃぶしゃぶのお店で松阪牛のしゃぶしゃぶとアピールしていたが実は、松阪牛ではない和牛だった。

これらの注意点は故意(わざとインチキをしようとした)に限らず、

過失(勘違い・間違い)でもアウトです。

なのでパッケージやチラシの誤植でも、行為をした時点で違反行為となり摘発の対象です。従業員同士の連絡ミスで摘発があり得るので仕様書の点検を2重化など実務的な面でも対策が必要です。

有利誤認・・・

その商品の値段(取引条件)は、消費者にお得と思わせても実はそうでは無い事を指します。
摘発の実例)
・特定日の売出しで全品半額と訴求していても、実は平常の価格から倍の元値を付けて、その値段から半額と、結局は半額になっていない。
・通信教育の会社で受講生募集に際して、「応援キャンペーン」「サマーキャンペーン」と銘打って受講料1万円値引き表示をしていたが、ほとんどの期間で値引き価格が常態化していた。
・おとり広告として、ネットの中古車販売で売約済みの車両を販売し続けた。(商品はないので他の車両を客に勧めている)

二重価格はダメ

有利誤認でよくあるのが「二重売価」の表示です(写真参照)安さを強調して、この表示方法自体は問題も無いのですが・・・   この元値の合理的な根拠はドコにあるかで行政から摘発されます。

20151106

 

・元値が「メーカー希望小売価格」なのか?
・元値が「通常価格」or「平常価格」は、セール開始前の8週間前からセールの日前日までの過半数の期間でその元値で売っていたか?
と結構条件が厳しいです。
行政から摘発される時の情報源の75%は消費者からの通報なので、お店でテキトーに・また大掛かりにやっていると、そのうち摘発されますので注意が必要です。

行政から摘発されるとどうなるのか?

行政から摘発されると前述していますが、
・消費者庁・都道府県・公正取引委員会が市民から通報もしくは行政自体が調べてお店へ「調査」にやってきます。(この時点で行政はかなりの事前下調べをしてきて、確たる証拠をもって調査に来ますので、隠してもムダです!)

・お店側が正直に認めたらこの時点でお店側が自主的に、その商品の販売中止と返金自主回収等を新聞で広告を出します。(大きい事案だと新聞報道もこの時にされちゃいます)。

・この時点でお店が認めないと、弁明の機会の付与を経て行政から「措置命令」といわれる処分がされちゃいます。この時点まで来たらお店の存続も危ぶまれますね。この制度で来年5月からの予定では、「課徴金制度」も導入されます。

・行政処分にまでいくと、過去3年間にさかのぼって、その商品の売上の3%を課徴金としてペナルティを課せられますので注意が必要です。

最後に

これら「表示」は、パッケージやラベル、店内のディスプレイにだけではなく、パンフレット、チラシなど広告類や、インターネット広告、テレビラジオCM、セールストーク、電話勧誘にまで規制が及びます。またどんな業種でもBtoCの取引の全般に規制が及びますので注意が必要です。 商品を提供する側は、売れるためにその商品のイイ所を訴求しますが、キチンと間違いなく、偽りのない表示を心がけたいですね。

景品表示法

もう「トクホ」、「機能性表示食品」のコトバだけじゃ売れない

2015年11月2日

こんにちはお総菜行政書士の加藤智成です。11月に入り、めっきりクリスマスモードが加速してきました。「クリスマスケーキの予約はもう終わりましたか?」「人気商品はお早めに」ってスーパーで言ってました。まだ先のことでピンと来ませんが、もうそこまで季節が来ている事を実感します。それでは、今週もお付き合い下さい。

トクホと機能性表示食品を気にせず買ってない?!

2015年10月26日掲載の日経流通新聞「日経Mj」一面記事にありました。消費者が商品の選択の際に「トクホ」と「機能性表示食品」の違いにはあまり気にしていないことが記事に書いてありました。
トクホと機能性表示食品についての説明は当事務所の7月27日更新のブログでご確認ください→「http://www.tomonari-kato.com/blog/2015/07/27

新聞記事の中では「トクホ」や「機能性表示食品」と言うコトバは消費者にはあまり意味の無いコトバで、
コレを食べたら「体の何に効果があるか?」に興味があって、店頭のPOPや商品パッケージの見出しに消費者は興味があるらしいです。
アルコール飲料での分野では、売れ行きの差が顕著にでているようで、トクホよりはパッケージの「プリン体ゼロ」「カロリーゼロ」のコトバに関心を持って商品選択の決め手になっているようです。

トクホをわざわざ取得する意味って?

商品を製造するメーカーの目線からして、ちょっとおもしろい話を聞きました。先日機能性表示食品のセミナーにお邪魔した時に講師の先生から伺ったコトバで
「トクホは、限られた効能しか謳えないし、許可が出るのに2~3年かかり、メーカーから見て使いづらい制度」
とおっしゃっていました。
そうなんです。トクホは決められた効き目のある成分しか使うことができず、決められた効用しか訴求できないのです(表参照 東京都福祉保健局のweb「東京都の食品安全情報サイトより)


 

これまでに認められている主な保健の効果の表示
表示内容 保健機能成分(関与成分)
お腹の調子を整える食品 イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ポリデキストロース、キシロオリゴ糖、グアーガム分解物、サイリウム種皮、ビール酵母由来の食物繊維、フラクトオリゴ糖、ポリデキストロース、ラクチュロース、寒天由来の食物繊維、小麦ふすま、大豆オリゴ糖、低分子化アルギン酸ナトリウム、難消化性デキストリン、乳果オリゴ糖、ビフィズス菌、乳酸菌等
血圧が高めの方に適する食品 カゼインドデカペプチド、かつお節オリゴペプチド、サーデンペプチド、ラクトトリペプチド、杜仲葉配糖体
コレステロールが高めの方に適する食品 キトサン、サイリウム種皮由来の食物繊維、リン脂質結合大豆ペプチド、植物スタノールエステル、植物ステロール、低分子化アルギン酸ナトリウム、大豆たんぱく質
血糖値が気になる方に適する食品 L-アラビノース、グァバ葉ポリフェノール、難消化性デキストリン、小麦アルブミン、豆鼓エキス
ミネラルの吸収を助ける食品 CCM(クエン酸リンゴ酸カルシウム)、CPP(カゼインホスホペプチド)、フラクトオリゴ糖、ヘム鉄
食後の血中の中性脂肪を抑える食品 ジアシルグリセロール、グロビン蛋白分解物
虫歯の原因になりにくい食品 マルチトール、パラチノース、茶ポリフェノール、還元パラチノース、エリスリトール
歯の健康維持に役立つ食品 カゼインホスホペプチド-非結晶リン酸カルシウム複合体、キシリトール、マルチトール、リン酸一水素カルシウム、フクロノリ抽出物(フノラン)、還元パラチノース、第二リン酸カルシウム
体脂肪がつきにくい食品 ジアシルグリセロール、ジアシルグリセロール植物性ステロール(β-シトステロール)
骨の健康が気になる方に適する食品 大豆イソフラボン、乳塩基性タンパク質

 


それに比べて「機能性表示食品」では、食品の効能を示す科学論文を探してきて効き目が証明されれば、どんな効能でも訴求でき、臨床試験を必要とせず、論文さえ用意できて、認可がおりるまでの期間が半年くらいと、トクホと比べて格段に短いので、その点でも機能性表示食品が商品化にしやすいとされているのです。

 まとめ

売り手側からの目線では・・・「トクホ」「機能性表示食品」のコトバだけでは、お客さんへの訴求はもう常識で、もう一歩進めて、その商品を買って食べることで「体のドコに効くのか?」「食べたらお客さんはどんなメリットがあるのか?」をアピールできる商品がお客様から支持される商品になれそうですね。

 

 

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